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沖縄の家週刊かふう特別編集「こんな家に住みたい」セレクション

沖縄の家selection51

定年後は沖縄にいる息子の家族と一緒に、ゆったりと心豊かに過ごしたいと願ったKさん夫妻。
庭を共用する別棟の二世帯住宅で要望をかなえ、すっきりした空間構成の暮らしやすい家で第二の人生を過ごしています。

コンパクトな造りで、第二の人生を

コンパクトな造りで、第二の人生を

■息子の家族と同じ敷地に家を建てる

 うるま市に住むKさん夫妻は関東のご出身。十数年前、春先の沖縄に初めて訪れて以来、南国の暮らしにあこがれを抱くようになりました。関東に持ち家はありましたが、沖縄で暮らす息子さん夫婦に呼び寄せられ夢が現実になりました。そして今は、交通の便がよく緑に囲まれたのどかな環境に家を建て、昼は趣味の陶芸や野菜づくりにいそしみ、夜は満天の星空を眺めながら快適に暮らしています。
 第二の人生を過ごすための家づくりは、息子さんの友人の建築士に依頼。親子世帯それぞれ要望を反映させるため同じ敷地内に別棟を建て、二世帯で庭を共用する計画が進みます。
 Kさん夫妻が望んだのは、すっきりと暮らせるコンパクトな家。風通しが良いのはもちろんのこと、陶芸アトリエの併設と畑地の確保は必須条件でした。
「今回の家づくりは私たちの『住まい観』の集大成。建築士さんにはこれまで暮らしてきた中から感じたことや望みを具体的にお伝えし、それを形にしていただこうと思いました」
 建築士とのやりとりは、所用で来沖する以外、ファックスやメールが中心でしたが、ポイントを押さえた提案を受け、安心して任せられたそうです。ところが、設計がまとまったころに息子さんの転勤が決まり、Kさん夫妻の建物だけ一足先に建築することになりました。

コンパクトな造りで、第二の人生を

キッチンの配置にも角度を付けて視覚的な広がりを創出。全体が見渡せ、回遊性の高い空間構成であることもKさん宅の特徴の一つです

コンパクトな造りで、第二の人生を

明るくさわやかなアトリエ。作品づくりにも思わず熱が入ります

コンパクトな造りで、第二の人生を

寝室の上部には片流れ屋根の形状を生かしたロフト、隣には大きなウオークインクロゼット
2階は完全にプライベートエリアです

コンパクトな造りで、第二の人生を

読書にふけったり、三線を奏でたり。ロフトは独りの時間を満喫できる場所

■至る所にくつろぎのスペースを

 Kさん夫妻の住まいは一階に陶芸アトリエ、LDK、水回り、二階に寝室とウオークインクロゼットを配置。シンプルな空間構成ながらも、こだわりと工夫が至る所に施されています。例えば、漆喰の塗り壁はあえてコテ跡を残し、一定の塗り厚とリズミカルな曲線で洗練された雰囲気を醸し出しています。屋根勾配を生かしてロフトを設置した寝室は北側を大きく開き、深い庇のあるバルコニーと屋上庭園を連続させています。
 念願の陶芸用アトリエは、LDKに続く四畳半の板間の隣に配置。Kさんが一日の大半を過ごすLDK、天井高を抑えた板間、アトリエなどは広くはないものの、床高の違いや引き戸で緩やかに仕切ることにより空間に広がりとメリハリをつくり出しています。さらにLDKのメインの窓は、高さを床から約三十センチ上げ、その下の壁面に腰掛けを兼ねた造付収納を設置し、くつろぎのスペースを創出しています。
「掃き出し窓にして、リビングとデッキをフラットにつなげる案もありましたが、この方法が私たちの暮らしに合っています。庭からの出入りも自由な上、大勢の来客や読書にも便利ですよ」と話すKさん夫妻は、多様な使い方と思いがけない楽しさをもたらす造りに満足そうです。

コンパクトな造りで、第二の人生を

ウッドデッキは心地良い軒下空間。窓の高さに合わせて腰掛け収納を設置し、ここにもくつろぎの場を用意しています

コンパクトな造りで、第二の人生を

LDKと隣り合わせの板間は四畳半ほどのコンパクトな空間。段差を利用して床下収納を設けています

コンパクトな造りで、第二の人生を

Kさん夫妻の希望でキッチンとその奥の水回りはタイル床に

要望にプラスアルファの提案を

■周囲環境に合った配置計画 ―― 久志直輝さん談

 施主の要望は同じ棟の二世帯住宅ではなく、別棟にして庭などを共用したいということでした。南西側に緑豊かな景色が広がる敷地に対し、東側にKさん世帯、北側に息子さん世帯を配置し、眺望の良い南西の敷地を庭に仕立て二棟でL形に囲うプランを決定した上で、一期工事としてKさん世帯を手掛けました。
 落ち着いた雰囲気のKさん宅とは対照的に、息子さん世帯は開放的なプランです。その中でLDKは二階、子ども室は一階に置き、お孫さんとKさん夫妻の行き来を考えた配置を予定しています。  Kさん宅では庭のある南西側を開放し、西日対策として庇を深くしています。また、道路に面する北側は通風用の小さな窓を、隣地の迫る東側には軽快なデザインの階段を配し、通風や採光を確保するとともに開口部を程よく遮るスクリーンの役割を持たせました。  Kさんが息子さんを訪ねた際に、打ち合わせの時間をつくっていただくことが数回ありましたが、ほとんどは遠隔でのやり取りです。作成した数点ほどのプランにイメージCGを添えて送り、それに対する回答を図面化するという流れでしたが、施主が要望を明確に提示してくださったおかげで工程はスムーズに進みました。
 計画では、限られた面積の中で可能な限り要望を満たし、なおかつプラスアルファの提案を心掛けました。部屋そのものは広くないのですが、内と外、居室間のつながりに開放感を加えて、施主のライフスタイルに合わせています。また、同時に環境に配慮して施主の趣味を踏まえた上で、調湿性に優れた内装材、屋上緑化や遮熱塗装、雨水タンクを設置しています。

コンパクトな造りで、第二の人生を

前面道路側から見たKさん宅

コンパクトな造りで、第二の人生を

2階の屋上庭園は前面道路と寝室の緩衝帯としての役割も果たします

コンパクトな造りで、第二の人生を

アトリエ。庭や室内への移動に便利な動線を確保

コンパクトな造りで、第二の人生を

奥さまの陶芸作品が目を引く玄関スペース

久志直輝さん

久志直輝さん

■家づくりのヒント

■実用性をプラスした創作テーブル

コンパクトな造りで、第二の人生を

Kさん宅のLDKの中央にある大きな創作テーブルは、遠方からの来客に備え、掘りごたつ式にしつらえています。床の一部を持ち上げて90度回転して下ろすだけで、掘りごたつ式の大テーブルに早変わり。しまい込むときも同じ要領です。
これは足元と天板にスチール製の脚を取り付け、脚の固定位置を対角線上からわずかにずらした仕掛け。通常はテーブルの角にあるはずの脚が奥にあるので、座りながらの移動も楽で見た目もすっきりしています。

■スタジオジャグ一級建築士事務所
代表 久志 直輝
浦添市宮城3-7-5-101
098-874-2055
http://www.studio-jag.net/
家族構成:
夫婦
所 在 地 :
うるま市石川
敷地面積:
323.02㎡(97.71坪)
建築面積:
64.74㎡(19.58坪)
延床面積:
86.07㎡(26.04坪)
用途地域:
指定なし
構  造:
鉄筋コンクリート造
完成時期:
2008年9月
  • 施 工 業 者
  • ●建築/(株)棚原組[担当者名・山入端一志]
  • ●電気/(有)大謝名電工[担当者名・新垣直士]
  • ●水道/沖縄水質改良(株)[担当者名・照屋貴大]
  • ●キッチン/カーサ[担当者名・石川さかえ]

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