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沖縄の家週刊かふう特別編集「こんな家に住みたい」セレクション

沖縄の家selection51

上間さん夫妻は、高低差や形状など敷地にかかる難条件をクリアして、大勢の来客にも対応できる
開放的なリビング・キッチンが魅力の住まいを建てました。

仲間が集う高台のコートハウス

仲間が集う高台のコートハウス

■アイデアを具体的にまとめて設計に反映

 13年余りの団地暮らしを経て、昨年夏にマイホームを完成させた上間さん夫妻。夫婦共通の趣味は、爬竜船(はりゅうせん)による競漕「ハーリー」ということもあり、団地暮らしの頃からハーリー仲間や友人が毎週のように遊びに来ていたそうです。「狭いキッチンを見た友人が、よくここで大人数の料理が作れるものだと驚いていましたよ」と奥さまは冗談交じりに話します。
 そんな中、6畳の部屋を2人で使っていたお子さまたちが個室を欲しがる年頃になり、上間さん夫妻は長年住んでいたエリアに絞って土地探しをスタートしました。ところが、目当てのエリアは交通の便が良いなどの理由で宅地としての人気が高く、条件に合った土地を見つけるまで3年近くもかかったそうです。
 候補に挙げた土地は、高台にある6角形の変形地です。道路との高低差が最高2.5メートルもあったそうですが、上間さん夫妻は見晴らしの良さが気に入り購入。設計は、初対面で意気投合したのが決め手になり、友人の家を建てた建築士に依頼することにしました。  家づくりに並々ならぬ思い入れがあったというご主人は、設計に入る前に平面図を描くなどしてアイデアを具体的にまとめていたそうです。「敷地の高低差をクリアするには、擁壁を建てて盛り土をするしかないと思ったのですが、建築士さんが提案したのは、擁壁の代わりに建物の基礎を高くしたプラン。コスト削減にもつなげており、さすがプロだと思いましたね」と振り返ります。

仲間が集う高台のコートハウス

アイランド型キッチンや建具、家具やロールスクリーンといった面の広いものはダークブラウンで統一。グリーンや光の表情が引き立つシックなインテリアとなっています

仲間が集う高台のコートハウス

家の中に一歩足を踏み入れた時に最初に目に入るのは、正面奥のFIX窓越しに見えるグリーンや空。上がり框の下に奥行きを設けて、普段履きの靴を収納するスペースを確保しているので、玄関はすっきりした状態が保ちやすそうです

仲間が集う高台のコートハウス

配膳をしやすくするために、システムキッチンの並びにダイニングテーブルをレイアウトしたほか、水回りや収納スペースはキッチンの隣に配置。家事効率のいい動線を実現しています

仲間が集う高台のコートハウス

子ども室はワンルームを仕切って2部屋確保。写真右側の青いソファの背面にある間仕切り戸を開くだけで、隣の部屋とひと続きになります

■開放的なリビング・キッチンで来客に対応

 上間さん宅は、6角形の敷地形状に沿う形で建物を配した平屋のコートハウス。フラットで閉じた印象の外観とは対照的に、内部は大人数の来客にも対応できる約22畳のリビング・キッチンを建物の中心に据えて、その正面にデッキテラスを配置した伸びやかな空間となっています。「友人らも料理や片付けを手伝ってくれるので、キッチンは数名で囲めるアイランド型を選びました」と、キッチンは来客時の使いやすさも重視したほか、並列に配した浴室の窓を介して東シナ海が望めるように、立ち位置にもこだわりました。
 また、建築士の提案により、基礎部分に約6トンの雨水タンクを設けて、雨水をトイレや洗濯水などに活用しています。ちなみに、水道料金の月平均は約3000円。光熱費に至っては、太陽光発電システムを導入したおかげで、7月分は電気使用料約1万円に対して売電は約3万円。年間で見ても光熱費はプラスになっているそうです。
 ご主人は「子どもたちには、太陽の動きを感じながら規則正しい生活を送って欲しい」と、天窓とスポットライトを組み合わせた照明を考案して、間仕切り壁で仕切った子ども室や洗面室などに設置しました。ほかにも、3メートル近くのクスノキの一枚板を購入して座卓にしつらえたり、キッチンカウンターやポストを自作。「いずれは暖炉を置きたいですね」と、ご主人の楽しみはしばらく続きそうです。

仲間が集う高台のコートハウス

右/トイレと収納スペースに挟まれた水回りの通路は天窓から採光。明るい空間になりました
左/浴室の大きな窓から東シナ海が望めるようになっており、開放的なバスタイムが楽しめそう。日中は開け放しにして換気に役立てているそうです

仲間が集う高台のコートハウス

道路側から見た上間さん宅。木製のルーバーや坪庭のグリーンをアクセントにして、夜はライトアップされた坪庭が建物を彩ります
写真提供・上間さん

敷地の高低差を生かし床下空間を実用的に使う

■6角形の敷地を建物で囲んでプライバシーを確保 ―― 建築士・比嘉功さん談

 敷地は高台の閑静な住宅地にあり、日当たりや見晴らしも良く、住宅地としては恵まれた環境です。しかし敷地の形状は6角形で、隣家側の1辺を除いて勾配のある道路に囲まれています。さらに、道路との高低差は一番高いところで2.5メートルもあり、プランニングに当たって課題となったのは、この高低差をどのようにクリアして、プライバシーを確保するかということでした。
 そこで施主の用意した平面図をベースにしつつ、リビング・キッチンを中心に各居室を配置したコートハウスを提案。建物は敷地形状に合わせて多角形とし、道路との高低差は建物の基礎を高くすることで解消。工期短縮にもつながり、擁壁を建てるよりもコストを抑えることができました。さらに、基礎部分の3分の1を雨水タンクに、残りの3分の2を床下収納スペースにして実用性をプラスしました。
 道路側から建物を見た時にシンプルな箱に見えるよう、庇などの凸部分を極力なくし、一方の庭側は、日陰をつくり出すために深い庇(ひさし)を設置。見る角度によってイメージの異なる、表情豊かな外観になったと思います。
 開口計画のポイントとしては、玄関を入った時に視線が外部へ抜けるよう配慮したほか、リビング・キッチンにフルオープンのサッシ窓を設けて、デッキテラスと庭との連続感を創出。寝室や子ども室などのプライベートな部屋やキッチン、浴室などは道路に接しているため、窓の位置を高くしたり、横長の形状にしてプライバシーを確保しました。ほかにも施主の要望に応えて、暗くなりがちな場所にはトップライトを設置しており、常に自然光が差し込む明るい空間になったと思います。
 家づくりはスピードも大切ですが、私は施主に納得いただけるまでプランニングを行うことを最優先しています。上間さん宅の場合は、半年間、週1回の打ち合わせを行って施主のアイデアや要望を的確に図面化するように努めました。完成後に施主から「満足している」との感想をいただき、うれしく思っています。

仲間が集う高台のコートハウス

リビングは天井高を約3.5メートルと、ほかの空間よりも高くし、さらに庭に面した開口部はフルオープンのサッシやハイサイドライトを採用して外部との連続感を創出。これによりリビング・キッチンは、実際の床面積以上の広がりが感じられます

仲間が集う高台のコートハウス

プライバシーを守るために開口部を抑えた道路側に対し、庭側はとても開放的です

仲間が集う高台のコートハウス

バーベキューを楽しむなど、夏場はデッキテラスもおもてなしの場に。深い庇を設けて、心地よい日陰をつくり出しています

仲間が集う高台のコートハウス

建物の基礎(コンクリート打ち放しの部分)を利用して雨水タンクと床下収納を確保

比嘉功さん

比嘉功さん

■家づくりのヒント

■趣味にちなんだ玄関ドアで個性を出す

仲間が集う高台のコートハウス

上間さん宅の玄関ポーチは深い庇の下にあって、よほどの強い雨でなければ濡れる心配がないため、玄関ドアは夫婦共通の趣味であるハーリーにちなんだデザインにしました。ドア本体は木製で、取っ手はご主人が手作りしたエーク(櫂)。玄関先を個性豊かに演出することで、来客を歓迎する気持ちを表しています。

■建築工房 ibox(アイボックス)
名護市屋部542-2 050-3649-2160
ibox@minos.ocn.ne.jp
http://okinawa-ibox.com/
家族構成:
夫婦、子ども2人
所 在 地 :
名護市
設  計:
建築工房ibox 比嘉 功
敷地面積:
323.19㎡(97.76坪)
建築面積:
127.31㎡(38.51坪)
延床面積:
122.38㎡(37.02坪)
用途地域:
第一種低層住居専用地域
構  造:
補強コンクリートCB造
完成時期:
2011年7月
  • 施 工 業 者
  • ●建築/長山建設 (担当・長山一也)
  • ●電気・水道/創電水プラン(担当・岸本定春)
  • ●キッチン/パナソニック

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