• life in okinawan house
  • life in okinawan house
  • life in okinawan house
  • life in okinawan house
  • life in okinawan house

沖縄の家週刊かふう特別編集「こんな家に住みたい」セレクション

沖縄の家selection51

第一子の妊娠を機に家づくりをスタートしたSさんは、予算内で補強コンクリートブロック(CB)造の家を完成させました。家相や家事動線などにもこだわった、シンプルで温かい住まいです。

CB造の家で伸び伸び子育て

CB造の家で伸び伸び子育て

■家相を取り入れた家を予算内で建てる

 独身時代から一戸建てに思い入れがあったというSさんは、結婚後、第一子の妊娠をきっかけに本格的に家づくりを開始。Sさんのご実家近くにある高台の静かな住宅地を候補に挙げ、家相の専門家に見てもらった上で、その土地を購入しました。
 家づくりに際し、予算内で建てることを最優先に考えていたSさんは、住宅情報紙で紹介されていたコンクリートブロック(CB)造の家に目を留めました。「CBの目地を生かしたシンプルな造りと、予算に応じた家づくりが可能というところに引かれました」と、その住宅を手がけた建築士に設計を依頼することにしました。
 Sさん夫妻が希望したのは、トイレは北西の角、床の間は南東に置くなど、沖縄の家相を取り入れた間取りです。「家相という基準を1つ設けることで、イメージがまとめやすくなりました。私たちが提示した要望を、通風採光や生活動線、予算などを踏まえて、建築士さんが練り上げてくださったおかげで、予算内で家を建てることができました」と言います。さらにSさんは、当時妊娠中で打ち合わせになかなか参加できなかった奥さまに代わって、キッチンの造りや収納、家事動線といった女性目線が必要なプランも検討したそうです。「主人は普段から、積極的に家事や育児をこなしてくれるので、安心して任せることができました」と奥さまはうれしそうに話します。

CB造の家で伸び伸び子育て

花ブロックで囲んだ玄関ポーチや物干し場の配置、外壁塗装によって立体感を創出したSさん宅。アプローチは「実家のように」との要望に応え、前庭や植栽を眺めながら玄関へ行き着くアプローチとしました

■お子さまの成長に柔軟に対応する空間

 昨年春に完成した住まいは、花ブロックを縦横に組み合わせたファサード(建物正面)が目を引くシンプルな平屋建て。間取りは、表座に当たる南側に、子どもたちへ目配りのしやすいオープンなLDKとモノトーンでまとめた小さな和室が、裏座に当たる北側には子ども室と寝室が配されています。北西にキッチンと水回りをまとめて家事動線を集約したほか、今後、お子さまの成長に伴って増えていく荷物がしまえるよう、大小さまざまな収納スペースを設置。スキンシップが必要な乳幼児期はLDKをメーンに使い、独立心が芽生える年ごろには子ども室を割り当てるというふうに、お子さまたちの成長に柔軟に対応できるようにしています。
 前面の道路に向かって開いたLDKの掃き出し窓の先には、花ブロックで囲んだ物干し場を確保。Sさん夫妻は「家相に従ってこの位置にしました。アパートのベランダのように、室内側からしか出入りできないので安心です」と防犯にも優れ、なおかつ外観のアクセントにもなるこの造りに満足そうです。一方、プライベート空間に当たる北側の部屋には、滑り出し窓を目線より高い場所に設置。隣家の外壁に反射して光が入ってくるため、室内は思いのほか明るいそうです。
「風通しが良く、この夏も過ごしやすかったですね」と話すSさん夫妻。Sさん一家のこれからを、この家はおおらかに包み込んでくれそうです。

CB造の家で伸び伸び子育て

裏座に当たる寝室と子ども室は、木目を生かした温かみのある空間。現在はワンルームにして使っていますが、建具で仕切れば独立した空間を3部屋確保できます

CB造の家で伸び伸び子育て

黒を配色してモダンにしつらえた床の間が印象的な和室。天井高まである建具を戸袋に収めれば、LDKとの一体感が強調され、より伸びやかな空間になります

CB造の家で伸び伸び子育て

壁に沿ってL字型に設置したキッチンは、奥さまと一緒にキッチンに立つことの多いSさんの身長に合わせて95センチと高め

CB造の家で伸び伸び子育て

キッチン側を目隠しする形で設置したカウンターには、お子さまの安全を考慮してベビーガードを備え付けました。使わない時はカウンターの内側に収納できます

CB造の家で伸び伸び子育て

縦長の窓から差し込む優しい光が出迎えてくれる玄関ホール。壁一面に造り付けた玄関収納の側面にもベビーガードを設置しています

CB造の家で伸び伸び子育て

1つの坪庭を浴室とトイレで共有して、水回りの通風採光を確保。坪庭へは浴室側から出入りします

建築基準法に準じた壁式構造で自由度の高い空間づくり

■補強CB造の目地を内外観に生かす ―― 建築士・屋慶名啓市さん談

 敷地は両側の道路面よりも50センチ以上も高く、北側には隣家が近接して建っている、ひな壇状の造成地です。施主は補強CB造の家を建てたいと当初から希望しており、ご自身で考案したプランを何通りも用意していました。
 私たちの展開する補強CB造の家とは、CBを構造材に用いて、予算内で施主の要望に応じた家を建てること。補強CB造の強度に不安を感じる方が少なくないのですが、躯体は建築基準法の構造規定に準じた壁式構造ですので、安全性や耐久性を兼ね備えつつ自由度の高い空間づくりに対応できます。さらに、CBの空洞部分にできる空気層を利用した遮熱対策や、CBの目地を生かしたシンプルな仕上げで建築コストを抑えられます。一方で、その分の予算を内装に回してLED照明を採用したり、建具や造り付け家具の造りにもこだわり、コスト以上の満足感が得られるデザイン性の高い空間づくりを目指しています。
 Sさん宅のプランニングは、アプローチや境界フェンスなどの外構工事を含むCB造平屋建てとし、建物を敷地の北側ぎりぎりに配して南側に前庭と3台分の駐車スペースを確保しました。間取りは施主が考案したプランをベースにして、躯体の構造強度に配慮しながらブロックの壁を移動して生活動線を調整。家相を取り入れつつ暮らしやすい間取りが実現したと思います。そのほかにも、一般的には建物の後方部など人目につかない場所に配置する洗濯干し場を、Sさん宅では建物正面に配して花ブロックで囲んでおり、雨風や外部からの視線を遮る緩衝帯としても役立てています。
 補強CBを構造体に用いた家づくりでも、暮らし方は住まい手によってそれぞれですので、画一的な仕上がりになることはまずありません。施主が納得いくまで打ち合わせを何度も重ね、十人十色の家づくりを目指しています。Sさん宅も、コストを極力抑えたシンプルな家づくりを実現することができました。この家での暮らしを、末永く楽しんでいただけたらと思っています。

CB造の家で伸び伸び子育て

家相の関係で建物の正面に配置した洗濯干し場へは、LDKの掃き出し窓から出入りします。花ブロックで囲むことで防犯や通風採光をクリアしたほか、花ブロックを縦横に組み合わせたデザインは外観のアクセントにもなっています

CB造の家で伸び伸び子育て

キッチン側からLDKと和室のつながりを見る。和室手前の右側は玄関ホール、左側は寝室となっています

CB造の家で伸び伸び子育て

表座に当たるLDKと和室は、モノトーンのインテリアが引き立つ白を基調にした空間

建築士の屋慶名啓市さん(左)と屋慶名司さん

建築士の屋慶名啓市さん(左)と屋慶名司さん

■家づくりのヒント

■3D画像で外観を立体的にイメージする

CB造の家で伸び伸び子育て

建物正面に塗る色を選択する場合、塗料のサンプルだけではイメージしにくいと判断して、外観の3D画像を数パターン作成しました。Sさんはこれを参考にしてグレー系の色を3種類選択し、正面の壁や花ブロックに塗布。建物をより立体的に見せています。

■(有)協永プラン
那覇市寄宮2-29-3 4F 098-834-7609
http://kyouei-plan.com

家づくりは住む人によって、いろいろな形があり、とても自由で楽しいものです。
それぞれの考えを基に、住む人のスタイルを建物という形で具体化するよう、全力でバックアップします。

家族構成:
夫婦、子ども2人
所 在 地 :
本島南部
設  計:
(有)協永プラン 担当/屋慶名啓市
敷地面積:
187.40㎡(56.68坪)
建築面積:
98.41㎡(29.76坪)
延床面積:
97.80㎡(29.58坪)
用途地域:
未指定地域
構  造:
補強コンクリートブロック造
完成時期:
2011年5月
  • 施 工 業 者
  • ●建築/大正建設
  • ●電気/野原電気設備
  • ●水道/盛設備
  • ●キッチン/パナソニック電工

カテゴリに戻る ›

週刊かふう特別編集
「こんな家に住みたい」セレクション

会員ログイン