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沖縄の家週刊かふう特別編集「こんな家に住みたい」セレクション

沖縄の家selection51

北部の自然豊かな敷地に建つKさん宅は、木の風合いに満ちた2階建ての住まいです。
限られた予算の中で創意工夫しながら、住み心地の良い家をつくり上げました。

木の素顔が見えるのどかな住まい

木の素顔が見えるのどかな住まい

■市街地近くの好環境

 Kさん姉妹は数年前から、家の新築を検討していました。20年以上暮らしてきたRC造の住宅の老朽化が進み、「ひび割れなどが激しく、徐々に身の危険すら感じるようになったので」と、しばしば完成見学会へ足を運ぶようになりました。
 当初は同じ地域内でも利便性の高い、新興住宅街に移り住もうと考えていました。しかし依頼を決めていた住宅メーカーから紹介された建築士に、「市街地から車で10分離れただけで、自然豊かな環境が手に入りますよ」と現在の土地を案内されました。お2人は「静か過ぎず、大通りの明かりや音がかすかに感じられるのもいい」と即座に気に入り、購入を決めました。
 建てたい新居のイメージは、これまでの住まいとは対照的な2階建ての木造でした。室内はできるだけ壁で仕切らずオープンな造りにして、ゆとりをもたせながらシンプルに。敷地の広さと必要な部屋数を考えると平屋でも十分収まりますが、空間に遊び心を加えるために2階建てを希望しました。そしてコスト面にはとことんシビアに向き合い、「決めた予算を絶対に超えないようにする」ことを念頭に、話を進めました。
 間取りは繰り返し打ち合わせを重ねた結果、家の中心にLDKを置き、両隣に寝室と広間を設置して、水回りはキッチン裏にまとめました。2階はキッチン上部に1室だけ、ロフトスペースを設けることにしました。

木の素顔が見えるのどかな住まい

片流れの屋根がスタイリッシュな印象の外観。外壁の色も所々変えて遊び心を加えました。庭には近々、芝生を張る予定とのことです

木の素顔が見えるのどかな住まい

玄関を入ると正面に階段があり、ロフトへとつながっています。階段には今では懐かしいガイシ引きの照明を取り付けました

木の素顔が見えるのどかな住まい

キッチンは当初、予算をかけず業務用のステンレス製を置く予定でしたが、建築士の勧めで既製品を購入。カウンターと食器棚は造り付けにしてリーズナブルに仕上げました

木の素顔が見えるのどかな住まい

広間。最初の打ち合わせでは家の半分を広間に充てる計画もあったそうです

■木のぬくもりを実感

 Kさんの新居は昨年7月に完成しました。出来上がった家の中を見ると、片流れの屋根に沿って玄関からロフトに向かって天井が上がり、梁や野地板などが露出したオープンな造りになっています。
 限られた予算の中で床材には最もこだわり、杉の無垢(むく)材を施工しました。木のぬくもりを直接感じられるよう無塗装で仕上げ、「足触りがとてもやさしく、本当に気持ちいいですよ」とお2人とも大満足です。
 壁は「クロス張りではなく木の風合いを生かしたい」とシナ合板を貼り付けました。現在は床同様に仕上げ材は何も施していませんが、「経年とともに傷みが目立ち始めたら塗装しよう」と考えているそうです。
 リビングからは毎朝正面に朝日を望み、遠方にはうっすらと海も見え、差し込む光の角度によって時間や季節の移ろいが感じられます。隣接する広間は使い勝手の良い、ワンルームの多目的スペースで、仕事部屋兼応接間兼趣味の部屋として大活躍しています。
 住み始めてから半年が過ぎ、とりわけ風通しの良さと自然の身近さを実感しています。夏は熱気がこもらず爽やかで、冬の肌寒さを感じる日には、ロフトに火鉢を置き窓から裏の畑を眺め、雰囲気を楽しみました。
「家づくりはまだまだこれから。必要なものは暮らしながらそろえていきたい」とKさん。今は手つかずの庭も徐々に手を加え、「いつかはオープンガーデンを開いてみたいですね」と考えています。

木の素顔が見えるのどかな住まい

リビングとキッチンの全景。部屋全体に太い梁が架かり天井が高く、開放感にあふれています。今回予算をかけられなかった材料は、傷みが目立ち始めたら交換して徐々にグレードアップしていく予定です

木の素顔が見えるのどかな住まい

読書をしたりちょっとした用事をしたり、使い勝手の良いロフトスペース。窓からの眺めも良く居心地のいい空間です

コストを抑え創意工夫。木の種類を使い分ける

■床は飫肥(おび)杉の無塗装無垢材を施工、壁はシナ合板の目透かし貼りに ―― 一級建築士・比嘉功さん談

 Kさん宅は予算の厳しい制約がある中でのプランニングになりました。優先順位を考えながら間取りを決め、材料を選定し、プランを組み立てていきました。
 屋根を片流れにしたのは、予算内で2階部分を造るために、天井高のある側にロフトを設けるとともに、風通しを考慮してのものです。リビングの開口部からロフトに向かって空気が流れ、夏の暑い時期でも室内に熱がこもらないように設計しました。
 木材は施工場所によって種類を変え、梁などの構造材をはじめ床とリビングの腰板には、宮崎県産の飫肥杉の無垢材を使用しました。壁はシナ合板を910ミリ四方の正方形にカットしたものを、数ミリずつ間隔を開けながら貼り付ける「目透かし貼り」で仕上げました。
 室内はリビングと寝室、広間の間に壁があるだけのオープンな造りです。寝室には中央に造り付けの簡易たんすを置いて2つのスペースに分け、壁際の戸棚やキッチンの収納棚も簡易なものを造り付けるなど、コストをかけず使い勝手を高める工夫をしています。
 多趣味な生活を送るKさん姉妹のライフスタイルを考え、フリースペースに充てた広間の入口には、同じように用途を問わず活用できる土間を設けました。庭から直接出入りでき、玄関ともつながっているため、室内外を結ぶ中間領域としてさまざまな生活シーンに役立てることができます。

木の素顔が見えるのどかな住まい

右/Kさんは美術鑑賞も趣味の一つ。リビングの壁際に棚を造り付け、絵画や工芸品を飾っています
左/寝室。窓の数も広さも同じスペースが部屋のもう片側に広がっています

木の素顔が見えるのどかな住まい

「木と金属の組み合わせが好き」というKさんは金属傘の照明を多用し、木材を接合するボルトもあえて露出させるようにしました

木の素顔が見えるのどかな住まい

土間から玄関までひとつながりになった床はタイル貼りに。写真左手の窓から庭に出ることができます

■家づくりのヒント

■構造材を化粧現しにしてダイナミックな空間を演出

木の素顔が見えるのどかな住まい

Kさん宅は天井を張らず、梁や野地板などの構造材を露出させ化粧にした、ダイナミックな空間構成が特長です。吹き抜けのように天井が高く、室内が広く感じられるとともに、一般的な建築では壁や天井に隠れてしまう柱や梁が見えるので、木の家ならではの雰囲気を存分に楽しむことができます。

■株式会社はーとほーむ産業
名護市宇茂佐の森3-16-7 0980-43-7013
http://はーとほーむ産業.com/
 
■建築工房ibox
名護市屋部542-2 2F 050-3649-2160
http://okinawa-ibox.com/
家族構成:
姉妹2人
所 在 地 :
北部
設  計:
建築工房ibox
施  工:
はーとほーむ産業
敷地面積:
505.81㎡(約153.01坪)
建築面積:
96.88㎡(約29.31坪)
延床面積:
103.04㎡(約31.17坪)
用途地域:
無指定
構  造:
木造2階建て
完成時期:
2012年7月

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