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沖縄の家週刊かふう特別編集「こんな家に住みたい」セレクション

沖縄の家selection51

大嶺さん夫妻は、アパートの最上階にコンクリート打ち放しのモダンな住まいを建てました。
見晴らしのよい南側を大きく開いて外部を生活空間の一部にし、光や風を感じながら伸び伸びと暮らしています。

アパート最上階にあるわが家

アパート最上階にあるわが家

■一戸建て感覚の家をアパート最上階に

 2DKのアパートに、小学5、4、2年生、幼稚園のお子さん4人と夫婦の6人で暮らしていた大嶺さん一家は、実家の建て替えを機に家づくりに取り組むことになりました。「2段ベッドを収納庫代わりにしても部屋の中は物でいっぱい。文字通り家族で川の字になって寝ていました。そんな中、一戸建ての実家をアパートに建て替えようと計画していた両親のもとへ、私たちの家を併設したアパートの案を持ち込んだところ、快く受け入れてもらったんです」と夫妻は振り返ります。
 住宅部分のプランについては、建築設計を職業とする大嶺さん自身で手がけることにしました。しかし、6階建てアパートの最上階に設ける住宅は、建物の北側に課せられる高さや形状などの制限をクリアした上で間取りや開口部を決めなければなりません。さらに、わずかな変更も建物全体の構造計算に関わってくるため、一戸建てのようにはいきません。予算や法規制、周囲環境などのさまざまな制約の中で慎重に設計を進めました。
「目指したのは、風や光などの自然を身近に感じる住空間。妻の意見も仰ぎつつ計画を進めましたが、彼女も同業者ですので意見のぶつかり合いは多かったですよ」と大嶺さん。そんな夫婦協働の家づくりが実を結び、アパートの一角ながらも一戸建て感覚で暮らせる住まいが完成しました。

アパート最上階にあるわが家

右/道路標識をモチーフにしたアパートの看板。遊び心のあるデザインが道行く人を楽しませます
左/エレベーターホールから玄関を見る。玄関ホールや廊下はギャラリー風にしつらえています

アパート最上階にあるわが家

眺望を生かした開放的なLDK。キッチンとその並びに配した洗面室は吹き抜けにして高窓を設置し、風の抜け道や光を確保しています

■自然を身近に感じる暮らしを満喫

 大嶺さん宅は、6階全体を使ってLDKや寝室、水回りなどを配して生活の場をつくり出し、コンクリート打ち放しと木部の重厚感を組み合わせたシンプルな仕上げで統一しています。コンクリート造りのキッチンが存在感を放つLDKは、4人の子どもたちが伸び伸びと過ごせる広さを確保し、視界の広がる南の方向に大開口部を設けて見晴らしのよさを強調しています。さらに、LDKの南側に奥行き2メートルのベランダを渡し、東側のテラスと連続させてウッドデッキを敷設。室内外に一体感をつくり出すことで居住性を高め、念願だった自然を身近に感じる暮らしを実現しています。「早朝東側のテラスに出ると、薄暗い空が明るくなり日が昇るのが分かるんです。それだけで贅沢な気分になります」と話す奥さまは、念願だったガーデニングを満喫中です。
 子ども室を配した5階へ通じる階段室は吹き抜けにして、トップライトと大きなFIX窓で採光。おかげで階下の子ども室には、まんべんなく光が降り注ぎます。「“モノ”があふれる時代だからこそ、子どもたちには自然の恩恵を暮らしの中で感じて欲しい。ちなみに部屋づくりは子どもたち自身に任せています。幼い頃の写真を飾るなど各々の個性が見えてほほ笑ましい反面、片付けなさい!と注意する回数も増えましたけどね」と、大嶺さん夫妻は4人の子育てを心から楽しんでいます。

アパート最上階にあるわが家

5階の子ども室には中央にトイレや収納、階段があるのみ。その階段を境にして、アトリエ兼宿題室と子ども室を振り分けて配置しています

アパート最上階にあるわが家

東側に配した寝室には、クロゼットを造り付けて子どもたち自身に服を管理させています

アパート最上階にあるわが家

6階のトイレは比較調査を兼ねて外国製品を導入しました

アパート最上階にあるわが家

ベランダに深い庇やウッドデッキを設置し、奥行きのある半屋外空間を確保。子どもたちの安全性に配慮して手すりを高くしています

外部と室内に一体感を持たせた開放的な空間

■子ども室は子どもたちの工夫次第 ―― 建築士・大嶺新さん談

 敷地は旗竿状で住宅やアパートが建て込む環境の中、西側にはアパートが建ち、南側と東側は大学の駐車場に接しています。西側の既設アパートとの関係性を考慮し、2メートルほど切土をして地盤面を合わせ、住宅併設の6階建てアパートを計画。住宅部分については、視線の抜けを確保することや、プライバシーを守りつつ光や風を取り入れ、自然と融合した空間づくりを心がけました。
 南側に視線を遮るものがないという利点を生かし、6階のLDKに大きな開口部と奥行き2メートルの外部空間を確保して室内外の一体感を創出。家族憩いの場であるLDKには、常に光と風の流れを感じて過ごせる開放性をつくり出しました。一方、5階の子ども室は、可変性とコスト削減を兼ねて仕切りを一切設けず、中央に階段とトイレがあるだけのオープンな空間としています。現在は半分を子どもたちの宿題部屋やアトリエとして利用していますが、間仕切り次第で変化がつけられるので、子どもたちは空間を工夫して使う楽しみがあります。また居室的な要素のない階段室は、トップライトを採用して上部から採光。階段下の子ども室全体に光が行き届くようスケルトン階段にしました。
 建築設計を手がけている職業上、家づくりを検討されている方々に、より的確なアドバイスを行えるよう、実験的なことも行っています。例えば、最上階におけるコンクリート打ち放し工法については、沖縄特有の梅雨時期の湿気などを実生活の中で確認したいという趣旨もあります。また、製品の比較実験を兼ねてデザイン性の高い水栓金具や外国製のトイレ、オール電化やエコ対応の空調機、LED照明なども導入しました。エアコンの使用を夜だけに限定したり、こまめな消灯を心がけているだけですが、光熱費は以前住んでいた2DKのアパートとほとんど変わりません。

アパート最上階にあるわが家

階段室はダイナミックな開口部で採光。鉄骨造のスケルトン階段となっているので、光は踏み板のすき間から下階の子ども室へ抜けていきます

アパート最上階にあるわが家

東側のテラスには程よい明るさの屋外照明を設置。夜になると隣の大学も静かになり、一日の疲れを癒すくつろぎの空間に(写真提供・大嶺設計)

アパート最上階にあるわが家

アパート外観。最上階の住宅部分のみコンクリート打ち放し仕上げです

大嶺新さん

大嶺新さん

■家づくりのヒント

■片持ち形状を生かしたダイニングテーブル

アパート最上階にあるわが家

コンクリート造りのキッチンは、背面の造り付け収納棚に格納したスツールを引き出せばダイニングテーブルに早変わり。片付けを手早く済ませたい朝や家事の合間のティータイムには片持ち梁のキッチン形状とIHのフラット面が重宝しています。ちなみにスツールの中は収納ボックスになっています。

■大嶺設計
那覇市国場767-5 おおハイツ502号室
098-854-8439
oominesekkei@camel.plala.or.jp
家族構成:
夫婦・子ども4人
所 在 地 :
那覇市
設  計:
大嶺設計
代表者/大嶺秀治 担当者/大嶺新
敷地面積:
501.75㎡(152坪)
建築面積:
210.86㎡(64坪)
延床面積:
154.65㎡(46.78坪)住宅部分
用途地域:
第一種中高層住居地域
構  造:
鉄筋コンクリート造
完成時期:
2011年3月
  • 施 工 業 者
  • ●建築/(株)金城キク建設 担当者名・酒本茂一
  • ●電気/真喜志電設 担当者名・与儀真喜
  • ●水道/(有)大皓設備 担当者名・伊山覚
  • ●キッチン/(有)MOV 担当者名・照屋涼子

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