• life in okinawan house
  • life in okinawan house
  • life in okinawan house
  • life in okinawan house
  • life in okinawan house

沖縄の家週刊かふう特別編集「こんな家に住みたい」セレクション

沖縄の家selection51

五〇代にして初めての家づくり。
閑静な住宅地にひと際目をひく赤瓦の外観。
ワインセラーや広いゲストホール、ダブルキッチンと長年の夢を実現した住まいです。

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

赤瓦屋根に緑が映える、格調高い二世帯の家

■環境や住み心地に大満足

 大型ショッピングセンターや公共施設、飲食店が立ち並ぶ那覇新都心。にぎやかな表通りからひとつ通りに入った、閑静な住宅地に与那覇さん宅はあります。
「以前は豊見城市で建売住宅に住んでいました。家を建てるなら新都心がいいと思い、十年ほど前に二百坪の土地を購入し、建築許可が下りるのを待ってすぐ建てました。建てた当初は辺りに何もなく、野中の一軒家という感じでした」と話します。
 事業を営む与那覇さんは、社屋や工場はこれまでに何度も建てたそうですが、家づくりは五十代にして初めての経験でした。建てるに当たっては、「やはり沖縄の伝統ですので、屋根は赤瓦葺(ぶ)きと決めていました。また、取引き先など仕事の関係者をもてなすためのゲストホールもぜひ作りたかった」と与那覇さん。設計はこれまでに自社工場や社屋を建ててもらい、信頼を寄せる建築士に依頼しました。
 完成した住まいの外観は、頑丈な構造を印象づけるコンクリートの外壁と赤瓦が、バランスよく組み合わされて、格調高くひと際目をひきます。敷地正面には丹精した庭木が花や葉を豊かに茂らせ、通りからの視線を緩やかに遮っています。折しも、ご自慢のツツジが満開でした。
 内部は一階を親世帯、二階を子世帯とした分離型二世帯住宅にプラス、ゲストホールで構成されています。一階親世帯の応接室は、屋久杉の埋もれ木(半ば炭化した木)の素材感を生かした、ボリュームのある応接セットを中心に、壁面やコレクションボードに絵画や焼き物が飾られ、さながらコレクションルームといった趣です。さらにワインをこよなく愛する与那覇さんは、地下にワインセラーを設けました。
 庭の眺めが楽しめる、家中で一番いい場所には縁側付きの広々とした和室の続き間があります。庭と和室の配置に限って言えば、一番座、二番座と沖縄の伝統的な間取りそのまま。余計な調度品を置かずに、シンプルな空間となっています。さて、ここまではご主人の与那覇さん主導で進められ、残りの部分はすべて奥様に任せたとのこと。
 お料理好きでお客様に手料理を振る舞う機会も多いという、奥様の希望はダブルキッチン。ダイニングに面したふだん使いのキッチンの奥に、レストランの厨房並みの設備を備えて確保された機能的なキッチンは、パーティーや行事の際に活躍します。キッチンの横には、収納庫や家事室が設けられ、すっきりと、かつ家事動線がコンパクトになるよう配慮され、いかにも使いやすそう。
 奥様の料理の腕を披露する場でもある、二階のゲストホールへは、プライベート空間と交錯しないよう、お客様が気兼ねなく出入りできる独立した玄関があります。ホールの中央には、装飾性の高い十六人掛けの漆のダイニングテーブルを配し、ショーケースや窓側に主に旅先で買い求めた壺をディスプレイして、東洋的でエレガントな雰囲気をつくり出しています。
 二階の子世帯には、昨年九月に結婚したばかりの長男夫婦が住んでいます。室内は広いリビングを中心に、将来の家族構成の変化にも対応できるように可変性を持たせた間取りです。親子世帯それぞれに玄関があり、生活領域は上下で完全に分けられていますが、内階段を設けて家族が自然に交流できる、理想的な二世帯住宅となっています。
 越して来て四年。「環境も住み心地も最高ですよ」と話す奥様。ビジネスの延長線上で活躍するパブリックスペースを内包しながら、二世帯で暮らす安心感と楽しさが伝わってくる住まいです。

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

屋久杉の埋もれ木でできた応接セットと壁面のコレクション

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

ヤージョー(屋門)付きの正面外観

リビングダイニング。新婚さんらしい初々しいインテリア

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

2階ゲストホール。大きな窓から日差しが差し込んで明るい室内。カラオケもあります

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

和室。しっとりと落ち着いた色調でまとめています

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

リビングからキッチンを望む。白で統一した明るいキッチンです

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

和室の続き間。庭の眺めが楽しめる家中で一番いい場所

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

キッチン。ダイニングに面したふだん使いのキッチン。その奥にもう一つキッチンがあります

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

花梨材のダイニングテーブルがゆったり収まるダイニング・スペース

気候風土や住み手のライフスタイルを踏まえ、当たり前の建築であること

■お互いの生活を尊重しつつ共有度のある空間 ―― 建築士 仲元典允さん談

 「あたりまえの設計、バランスのいい設計を常に心がけています。与那覇さん宅の場合、例えば外観では屋根に沖縄の伝統的な材料である赤瓦を、軒先にはフッ素樹脂鋼材を使用し、デザインしています。必要に応じて、古いものと新しいものをバランスよく融合させることが大事です」と語る現代設計代表の仲元典允さん。気候風土や敷地環境における条件、建物を構成する材料の性質を徹底的に踏まえながら、住み手の要望やライフスタイルに合致する空間をイメージし、提案するのが建築士の仕事。実現するに当たっては高い専門知識と創造性が要求されます。
「工事着工時、辺りは何もありませんでした。しかし、いずれ住宅地になることを想定して、長いスパンで周囲の環境の変化に対応できる住まいづくりを心がけました」あれから4年。周囲には集合住宅や戸建住宅が建ち、環境は大きく変化しましたが、敷地正面の庭に向かって大きくとられた窓は、外部の視線をうまく遮り、吹き抜けの坪庭や窓をバランスよく設けて、プライバシーを確保しながらも室内は明るく開放感にあふれています。
 奥様のご希望だったダブルキッチンについては「長年設計してきた中で、初めてのご要望でした」とにこやかに話す仲元さんです。広々としたゲストホールや、地下のワインセラーも住宅設計ではめったにない注文でした。
「分離型二世帯住宅である与那覇さん宅は、お互いの生活が尊重されるプランであることを前提に、両世帯の気配が感じられる共有度のある空間を提案しました」とのこと。吹き抜けの坪庭やバルコニー、内部に設けた階段に日々家族が自然にコミュニケーションがとれるような工夫がされています。ひとつ屋根の下で、適度の距離感で暮らす楽しさが伝わってくる住まいです。

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

縁側から庭を望む。琉球庭園といった趣の格調高い庭

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

1階玄関。生け垣がアプローチを優しい印象に

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

室内階段。ステンドグラスはゴルフ好きの与那覇さんのために奥様がデザインしました

赤瓦屋根に 緑が映える、 格調高い二世帯の家

地下ワインセラー。地下に設けたことで空調管理がしやすくなりました

仲元典允さん

仲元典允さん

■株式会社 現代設計
設計とは、建物を構成する多くの要素(人、素材、空間、時間)をバランスよく設定することだと考えています。また、風土の中で歴史を重ねながら、周囲環境にとって自然な存在であること、住み手にとってごく当たり前の、心地良い空間づくりを目指しています。
那覇市松島2-1-8
098-979-9070
098-979-9071
http://gendaisekkei.com
家族構成:
夫婦・息子夫婦
所 在 地 :
那覇市
設  計:
(株)現代設計
代表取締役社長 仲元 典允
担当 冨名腰英昭
敷地面積:
499.79(151坪)
建築面積:
249.05( 75坪)
延床面積:
406.13(122坪)
地下ワインセラー庫:
11(3.3坪)
用途地域:
第一種低層住居専用地域
構  造:
鉄筋コンクリート造
完成時期:
2002年1月
  • 施 工 業 者
  • ●施工/(株)屋島組
  • ●電気/電進工事社
  • ●水道/久建工業(株)

カテゴリに戻る ›

週刊かふう特別編集
「こんな家に住みたい」セレクション

会員ログイン