沖縄に住む~移住者紹介~週刊かふう特別編集「こんな家に住みたい」セレクション
Tさん夫妻は沖縄移住10年の節目に、子育てに最適の地でマイホームの夢をかなえました。
ハワイアンテイストの家
リビングからダイニング、キッチンを見る。キッチン上部にロフト、右横にパントリーを設置。「ハワイのリゾートホテルのような開放感のある家が理想。高い天井と梁、そしてシーリングファン、この三つは絶対欲しかった」と奥さま
■新興住宅地で子育て
Tさん夫妻は共に東京出身。ダイビングが縁で知り合った二人が、やがて結婚を決めて、将来像を語りあうようになったとき、共に暮らす場所として沖縄を考えるようになりました。いきなりの移住はためらわれたので、まずはTさんが沖縄で職を探し、移り住み、環境を整えたところで、沖縄での新婚生活をスタートさせました。
移住後はずっと那覇市内のアパートで暮らしていましたが、子どもの小学校入学を前に家づくりに向けて動き出しました。Tさんの職場の通勤圏内で、なるべく海に近い場所を探してみましたが、予算内で希望の土地を探すことの難しさを感じるばかりでした。そんなある日、ふと奥さまの頭に、かなり前にTVで流れていた新興住宅地の分譲開始の広告の記憶がよみがえり、連絡を取ってみたのだそうです。海に近い場所ではありませんでしたが、かろうじてTさんの通勤圏内にありました。また、隣近所に子育て世代が多いことも後押しして、最後の一区画を購入することを決めたのでした。
家づくりは、土地を世話した不動産会社の紹介してくれた建築士にお願いすることにしました。「最初にお会いしたときに私たちの要望を話したら、すぐにプランを作ってくれました。それが私たちの思い描いていたものとすごく近くて、迷わず依頼することを決めました」とTさん。最初の土地探しでは難航しましたが、ここに来てとんとん拍子に話が進み始めたのです。
■使いやすい家事動線がうれしい
眺めのいい高台に立つ、白いコンクリート造の平屋がTさんの家です。
Tさんたちが建築士に出した主な要望は「明るく、風通しのよい平屋。家事動線がよく、収納もたくさんほしい」というもの。そしてそこに、奥さまの大好きなハワイやタヒチのリゾートホテルの雰囲気を盛り込むことでした。ハワイアンテイストへのこだわりは、白いしっくいを思わせる壁紙だったり、リビングダイニングの太い木の梁やシーリング・ファン、坪庭の緑など、いたるところに表れています。
プライバシーを考慮して窓を配しているので、外から見ると閉じられた印象ですが、リビングのハイサイドライトや廊下のトップライト、坪庭やウッドデッキなどから、光を取り入れる工夫がされ、明るく開放的な空間となっています。
間取りは、敷地前面に駐車場とリビングダイニング、宿泊客用の洋室を配し、キッチンや浴室など水回りを間に挟んだ背面に、夫婦の寝室と子ども室を配しています。
「家事動線が一直線に集約されていて、とても助かっています。キッチンの収納も高さや色あい、すりガラスを使うことなど、細かく打ち合わせをして造ってもらったもので、とても気に入っています」と奥さま。インテリアにもこだわり、シーリング・ファンや水道の蛇口、ロフトの折り畳み式の階段など、ネットで取り寄せたものを多く使用しています。
「沖縄は子育てをするのにとても理想的です。少し車を出せば、海にも山にも遊びにいけるところもいいですね」とTさん。子どもたちも、すっかり新しい環境に慣れ、「前のお家のときより楽しいよ」と目を輝かせていました。
エントランス。木製の玄関ドアがおしゃれ。右の洋室のフィックス窓をすりガラスにして、外からの視線をシャットアウトしています
暗くなりがちな廊下にトップライトを設置。上からの光は廊下だけではなく、隣接するリビングダイニングにも届きます
泊り客のためにリビング並びに洋室を設置。建築士のアイデアで壁に折り畳み式のベッドを取り付けています
■限られた敷地で空間を有効利用
プライバシーを守りつつ、トップやサイドから光を取り入れる工夫を建築士・崎濱正治さん談
Tさんは事前の学習もしっかりされていましたし、メールなどを活用して綿密に打ち合わせができたこともあり、家づくりはスムーズに運びました。
開発地域にあり広い敷地もなかったので、庭のスペースを取るのは難しかった。そこで、子どもの遊び場にと屋上に芝庭を造ることにしました。また、眺めの良い高台にあるので、屋上でバーべキューなども楽しめるように小さなキッチンも設置しました。
周辺は今後さらに住宅が密集することが予想されます。近くに集会所もあるので、通りから家の中が見えないように、前面は完全に閉じて、トップやサイドから光を取り入れました。
家事動線は機能性を重視し、横並びに一直線につなげ、あちこち移動しなくてもすむようにしました。当初洗面台の横に洗濯機を置くことを考えましたが、収納を優先させ、室外のサービスバルコニーに移動しました。また、キッチン上部にロフトを設け、収納として使えるようにしました。
今は小さな子どもたちも、いずれは巣立っていきます。そこで、子ども部屋は出入口を二か所設け、可動式収納を置きました。収納を中央に移動すれば、二部屋として使うこともできます。
リビングは天井をできるだけ高くして、空間に広がりを見せるようにしました。構造上は必要ありませんが、奥さまこだわりの意匠梁を設けています。高い天井ではなく、この梁に照明器具を取り付ければ、電球などの取り換えも楽です。
子ども室。子どもがまだ小さいので、ここで家族そろって寝ているそうです。現在は可動式収納を壁に付けていますが、中央に移動して間仕切りとして使うこともできます
対面式キッチン。グースネックの蛇口は、ネットで探して取り寄せたもの。背面の収納や棚の色にもこだわりました
キッチン側からリビングを見る。ダークな色あいの木製の意匠梁が空間のアクセントになっています。リビングの窓からウッドデッキへ
芝庭のある屋上。バーベキューが楽しめるようにバルコニーに小さなキッチンを備えています
サービスバルコニーの一隅に坪庭を設置。浴室やトイレの窓からこの坪庭の緑が目に入ります
パントリー側からキッチンを見る。突き当りはサービスバルコニー。キッチンの床はタイル張りです
寝室。今はパソコンルームとして使用しています。右手の扉を開けるとウオークインクローゼットへ
■家づくりのヒント
■物干し場と直結して、室外に洗濯機を設置
Tさんの家では限られた空間を有効利用するため、洗濯機を室外に置いています。サービスバルコニーに面して設置したので、すぐにその場で干せて家事動線的にも優れています。サービスバルコニーには坪庭を設け、緑のある空間に仕上げました。
- 家族構成:
- 夫婦、子ども2人
- 所 在 地 :
- 南城市
- 設 計:
- カーサ設計工房 崎濱正治
- 敷地面積:
- 172.81㎡(52.28坪)
- 建築面積:
- 102.50㎡(31.01坪)
- 延床面積:
- 98.00㎡(29.65坪)
- 用途地域:
- 無指定
- 構 造:
- 壁式鉄筋コンクリート造
- 完成時期:
- 2012年1月
- ■カーサ設計工房 主宰 崎濱正治
- 南城市大里字稲嶺2282-84
- ■拓陽住宅
- 南城市大里字高平132-3